13億もの人口を抱えたインドは多様性に富んだ国だ。民族、言語、宗教が多様なのは言うまでもないが、乗り物も多種多様だ。人力車や動物が引く車がのんびりと行き交う一方、特殊な改造を施されたオート三輪が轟音を撒き散らしながらインド各地を走り回っている。

 

india17-39539チャカラはインド西部グジャラート州でしか見ることができない乗り物だ。大型バイクにド派手な荷台を引かせて、お客や荷物を満載して走り回っている。トラック野郎の男気と、バイク野郎の目立ちたい精神とが見事に融合した、マッチョな乗り物なのである。

 

india18-65193インド北部パンジャブ州を走っているテンポは、剥き出しのメカ部分がやたらカッコいいオート三輪だ。パンクな外見とは裏腹に、公共交通機関としてしっかり働いている真面目さにも惚れた。

 

india18-46425インド西部ジャラート州では、ラクダ車をよく見かけた。ラクダは体が大きくて力が強いので、重い荷物を運ぶことができるのだが、スピードはとても遅く、人が歩くのとさほど変わらない速さで進む。「そんなに急がなくたって、いつかきっと目的地に着くさ」ラクダは独特の風貌でそう言っているようだ。

 

india18-67630「立って馬車に乗る」というのは、インド北西部からパキスタンにかけてよく見られる習慣だ。バランス感覚が必要だと思うが、トラック運転手のようにより遠くを見渡せるのが利点なのだろう。

 

india18-62549インド北西部ラジャスタン州の街角を行くロバ車。ロバって働き者だけど、なぜかもの悲しい動物だ。何かに耐えているように、地面だけを見つめながら一歩ずつ足を進めていく。ロバにも御者にも哀愁が漂っている。

 

india1204-4398インド北部パンジャブ州を走る牛車。農作業に出かけるシク教徒の男を乗せて、畑の中を進んでいた。まぶしい日差しを受けて、すべてのものが輝いて見えた。

 

india1205-3008インド東部コルカタには、いまだに人力車が走っている。ペダルを踏むサイクルリキシャではなく、車夫が歩いて引っ張る昔ながらの人力車だ。政府は新規のリキシャ引きの営業許可証を発行していないので、現役の車夫たちが引退すれば、リキシャも過去の遺物となる。この姿を見られるのも、あとわずかだ。

 

india18-72986インドを代表する「庶民の足」といえば、やはりサイクルリキシャだ。客待ちしているリキシャ引きが、街の風景と一体化して、実に様になっていた。南インドではオートリキシャに活躍の場を奪われてしまったが、ビハール州やUP州、西ベンガル州などの北部では今もなお現役で走り続けている。

 

india18-344861台のバイクに6人乗りは、さすがにインドでも珍しくはなった。いくらなんでも窮屈だし、「一家に一台」から「大人一人に一台」の時代にシフトしつつあるのだ。それでも女性がバイクを運転する姿はまだ珍しいし、もちろん子供は運転できないから、一家の主たるお父さんが家族を乗せて運転しているのだ。

 

india18-44314気持ち良く晴れ渡った朝は、自転車に乗りたくなる。その気持ちはインド人も同じだと思う。今や「インド庶民の足」の主役の座をバイクに明け渡してしまった自転車だが、まだまだ多くの自転車が通勤や通学で使われている。重くて頑丈でとにかく長持ちするのが、インド製の自転車の特徴だ。