ミャンマー第二の街マンダレーにある精肉所を訪ねた。おびただしい数の骨の中で、男が斧を使って牛の骨を砕いていた。取り出した骨髄と脂肪を大きな鍋で煮て、ソーセージや石鹸に加工するという。骨の山のてっぺんには犬が三匹いて、骨の残りをガツガツと食べていた。なかなかワイルドな光景だった。
精肉所で働く男たちは、牛から取った内臓や脂肪や骨髄を細かく切って、ソーセージなどに加工する。生臭いにおいと大量のハエの中で行う重労働だ。残酷でグロテスクな場面に見えるかもしれないが、これもまた「いのちを食べる」ということの本質なのだと思う。
ミャンマーの農村で働く女たち。大きなクワでピーナッツ畑の雑草を刈っている。ピーナッツは茹でたり炒ったりして食べるほか、食用油の原料にもなるので、ミャンマーではよく植えられている作物だ。また、豆類の根につく根粒菌は大気中の窒素を固定するので、畑の土壌にとって肥料にもなる。
マンダレーにある工場でラペソー(食べるお茶)を作っている女性。数ヶ月発酵させた茶葉を、振動するふるいにかけて選別し、さらに発酵させて出荷する。しんなりとやわらかくなったラペソーは、塩と油で和え、揚げニンニクやピーナッツなどと混ぜて食べるのが一般的だ。
ミャンマーの工場でニンニクを揚げる男。皮を剥いたニンニクを高温の油でさっと揚げ、網を使って余分な油を切る。揚げニンニクは食べるお茶「ラペソー」と混ぜて食べるほか、調味料として使ったり、ふりかけ的にご飯にかけて食べたりもする。
ミャンマー中部の街マンダレーに、ビルマ語で「サックー」と呼ばれる色紙を作る工場があった。サックーはお菓子の包装紙や、提灯の材料として使われるという。白い紙を色鮮やかな染料にくぐらせて、天日で乾かす。昔ながらのミャンマーの色だ。
ミャンマーの街角や家に必ず置かれている素焼きの水瓶を作る女性。模様が刻まれた木のヘラを押しつけて、瓶の表面に美しい花の模様を描き出す。こうした伝統的な技法で、一日に25個から30個ほど作るそうだ。
きらびやかな牛車を作る女性。金色の塗料を塗った特別な牛車は、得度式で使われるのだという。得度式は子供が出家するときの行う儀式で、ミャンマーの仏教徒にとって一生に一度の晴れ舞台だから、できるだけ豪華に祝うようだ。
マンダレー郊外で、大理石の象(の像)を作る職人。電動カッターでおおまかな形を削り出してから、ノミやヤスリで細部を整えていく。完成した像は主に寺院やパゴダ(仏塔)に置かれる。全身が白い粉まみれになる過酷な仕事だ。
マンダレーにあるスピーカーの製造工場は、なぜか仏具を作る工房が軒を連ねる一角にあった。ミャンマーの寺院で行う法要やお祭りには宗教音楽を大音量で鳴らす巨大スピーカーが欠かせないから、同じ場所で作られているようだ。袖を切り取ったシャツとロンジー姿の労働者が素敵だった。
ミャンマーのレンガ工場で働く女性。川岸でとれる良質の粘土を運び出し、型に入れて固めから、天日で乾燥させ、窯で焼く。暑い屋外での肉体労働だが、若い女性の姿が目立っていた。