僕は郷ひろみのように「ジャパン!」「ジャパン!」と叫び続けた。その数は、ゆうに千回は超えただろう。
バングラデシュに旅行者が見るべきものなんて本当にあるのか。あるんだったら教えてもらいたいぐらいだ。
そこに立っていたのは一人の少女だった。まだ12、3歳ぐらいに見えた。
アーメットさんは本当に徒歩だけで北アフリカのチュニジアからバングラデシュまで旅を続けてきた人だった。
一年生から五年生まで百人近い生徒がいるのだが、教室はひとつしかなかった。しかも教師はたった一人だという。
オールドダッカと呼ばれるイギリス植民地時代からの旧市街地区は、毎日歩いても飽きなかった。
リキシャに乗るのは楽しい体験だ。道路にはダッカという混乱した街の縮図があり、それを少し高い場所から眺めることができる。
アジアを旅しようと思ったときに、まず最初に浮かんだ国の名前が「バングラデシュ」だった。