標高4000mの町・理塘
空は見たこともないような青さだった。汚れというものを知らない、純粋な青が頭上に広がっていた。
空は見たこともないような青さだった。汚れというものを知らない、純粋な青が頭上に広がっていた。
パンダの檻は意外なほど注目度が低かった。きっと中国人はパンダなんて見慣れているのだろう。
死が新たな生への再生を意味する輪廻転生の視点から見れば、火葬よりも鳥葬の方がより自然な葬送なのかもしれない。
マニ車をまわしながら、寺院の周囲を回り続けることによって、巡礼者は輪廻転生を疑似体験しているのではないか。
それは「便所臭さ」というレベルを遙かに超えたもので、鼻だけでなく目の粘膜までも刺激するほどの濃密な臭気だった。
言葉が違い、生まれ育った文化も違う人同士でも、共に歌うことでその場の空気を共有することができる。
空と大地だけが作り出す世界で、モンゴルの人々は自然が与えてくれる恵みに感謝し、血の一滴も無駄にせずに暮らしていた。
伝統的なゲルに住む遊牧民の食事は「馬の乳」と「牛のチーズ」と「羊の肉」が基本。野菜はほとんど食べないという。
モンゴルの子供たちは懐かしい顔をしていた。昭和初期の日本を写したモノクロ写真のようだった。日本人以上に日本的な顔だった。
5泊6日、車窓の景色はずっと変わらない。この退屈さをくぐり抜けることで、ロシアという国のうんざりする広さを体で感じた。
ロシアには美人が多い、という噂は本当だった。肌が白く、ナチュラルな金髪、目鼻立ちの整ったスラブ系美人。だが無愛想だった。