腕相撲で骨折した男
西新宿にある居酒屋の一室にその乾いた音が響き渡ると、賑やかな宴会の場は一瞬にして静まり返った。そこからは、何もかもが初体験だった。初救急車からはじまって、初入院、初点滴、初座薬、初手術。
西新宿にある居酒屋の一室にその乾いた音が響き渡ると、賑やかな宴会の場は一瞬にして静まり返った。そこからは、何もかもが初体験だった。初救急車からはじまって、初入院、初点滴、初座薬、初手術。
上海・大阪間は船で46時間かかる。運賃も安くはない。それでも船を選んだのは「旅の終わりに時間をかけること」が必要だったからだ。
内モンゴルでは広大な砂漠地帯を走り抜け、チベット高原の山道を登り、雲南省では亜熱帯の植物が生い茂る地域を通った。
バスの車掌はサービスのために乗っているのではなく、お客と対決し、大声で怒鳴ることを仕事としている。
中国人にガイジンだとわかってもらうためにどうすればいいか。僕が出した結論は「パーマをかける」だった。
麗江の町は細い路地が複雑に入り組んでいて、ぶらぶらと「町迷い」するにはうってつけだった。
空は見たこともないような青さだった。汚れというものを知らない、純粋な青が頭上に広がっていた。
パンダの檻は意外なほど注目度が低かった。きっと中国人はパンダなんて見慣れているのだろう。
死が新たな生への再生を意味する輪廻転生の視点から見れば、火葬よりも鳥葬の方がより自然な葬送なのかもしれない。
マニ車をまわしながら、寺院の周囲を回り続けることによって、巡礼者は輪廻転生を疑似体験しているのではないか。